2026.09.24
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先生役ばかりの私が、はじめて誰かにリードされた日
投稿者:かまぼ子
女風を予約した日の朝、私は何度もスマホの画面を開いては閉じました。
20歳、大学生。普段は個別指導塾でチューターのバイトをしています。生徒には普通に話せるのに、同年代以上の男の人となると途端に言葉が詰まってしまう。そんな私が、女風を使うなんて自分でも少し信じられませんでした。
性体験は一度だけあります。でも、それは思い出すと胸がきゅっとなるような記憶でした。嫌だったとまでは言えないけれど、怖い気持ちばかりが先に立って、気持ちいいとか、幸せとか、そういう感覚とは遠かったです。
待ち合わせは駅前にしました。いきなりホテルへ向かうより、少しだけデートみたいな気分を味わいたかったからです。
現れた彼は24歳。細くて、きれいめで、アイドルにいそうな雰囲気の人でした。まつげが長くて、ぱっちりした二重の目が印象的で、真正面から見られると少し困るくらいでした。
最初、私は緊張しすぎて「こんにちは」しか言えませんでした。すると彼は少しだけ首をかしげて、「今日、ここまで来ただけでけっこう偉いですよ」と笑いました。褒め方が大げさじゃなくて、でもちゃんと優しくて、その一言で少しだけ肩の力が抜けました。
歩きながら、彼は「駅前って人多いですね。俺、こういう所で待ち合わせると毎回、ドラマの主人公みたいな顔して立とうとして失敗します」と真顔で言いました。クールな顔でそんなことを言うので、思わず笑ってしまいました。笑った私を見て、「よかった。今のところ、つかみは成功ですね」と小さく言うのも、少しずるかったです。
会話は、質問攻めではありませんでした。大学のことやバイトのことを聞かれても、私が答えに詰まると「ゆっくりで大丈夫です」「話したくないことは飛ばしましょう」と言ってくれました。私が個別指導のバイトをしていると言うと、「じゃあ今日は先生じゃなくて、生徒側でいてください。俺がちゃんと空気読みます」と冗談っぽく言ってくれて、その軽さに救われました。
部屋に入ってからも、彼は急ぎませんでした。ソファに座る時も、私の隣にすぐ詰めるのではなく、少し距離を空けて「ここで平気ですか?」と聞いてくれました。飲み物を開ける音や、エアコンの温度を確認する仕草まで丁寧で、そういう小さな気遣いが、私にはとてもありがたかったです。
リードはしてくれるのに、無理やり連れていかれる感じがない。私が迷うたびに、彼は目を見て待ってくれました。「怖かったら止めます。気まずくならないので、そこは安心してください」と静かに言われた時、胸の奥が少しほどけた気がしました。その沈黙が怖くなくて、むしろ優しかったです。
触れられることが、こんなに安心できるものだとは知りませんでした。前の記憶の中にあった硬い怖さが、少しずつほどけていくようでした。
気持ちのいいえっちって、こういう感じなんだ。そう思った瞬間、自分の中で何かが静かに変わった気がしました。
終わった後、彼はすぐに雰囲気を切り替えたりせず、隣でぽつぽつ話してくれました。「今日のこと、無理に特別な意味にしなくていいですよ。でも、怖くなかったなら、それはちゃんと覚えてていいと思います」と言われて、なぜか泣きそうになりました。
帰り道、駅の灯りがいつもよりにじんで見えました。恋をしたわけじゃないのに、少しだけ世界がやわらかく見える。不思議な夜でした。
バイトを頑張って、また行ってみたいです。
次はもう少し、ちゃんと目を見て話せる気がします。